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春の特集展示
藤田嗣治 エコール・ド・パリの時代 1918~1928年

《二人の少女》1918年 油彩・キャンバス 軽井沢安東美術館

開催概要

会期
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展覧会概要

1913年に渡仏した藤田嗣治は、「乳白色の下地」でヨーロッパを席巻する1920年代まで、さまざまなスタイルを模索しますが、そこには日本人として大成するという変わらぬ決意と、自由な画風を重んじた、彼を取り巻く画家たちの影響がうかがえます。
本展では「藤田嗣治 エコール・ド・パリの時代 1918~1928年」と題し、1910~20年代のスタイルがどのように生み出されたのかを紹介します。独自のスタイルの確立を目指して挑戦し続けた藤田初期の作品を、当館コレクションとともに、どうぞじっくりとお楽しみください。

出展作品のご紹介

本展では、1913年の渡仏から「乳白色の下地」の完成にいたるまで、独自のスタイルを模索しながら制作にあたった藤田初期の作品を中心にご覧いただきます。

《街はずれの門》1918年 油彩・キャンバス
藤田がパリの風景を集中的に描いたのは1917年~1918年。それはいわゆる誰もが知る各所旧跡の類ではなく、この絵の題名が示すような、ひっそりとした場末の景観でした。
都市周縁のさびれた眺めはアンリ・ルソーが1890年代から取り組んだテーマ。ルソーはエコール・ド・パリのあいだで人気の根強い作家だったことから、藤田がルソー本人と会うことはなかったものの、彼の作品を実際に見る機会はしばしばあったといわれています。モティーフや物悲しい色合いなど、本作品にはルソーの影響がところどころに垣間見られます。
展示室:展示室2(緑の部屋)
《二人の少女》1918年 油彩・キャンバス
初公開作品
1918年8月、アヴィニョンそばの町で制作された作品。手に人形とポジーの花を握った金髪と黒髪の少女が椅子に腰かけ、まっすぐにこちらを見つめる様子は、同年にモディリアーニが描いた「二人の少女」の構図や視線と通じるものがあります。1910年代は藤田が、ピカソやモディリアーニ、ルソーなどの影響を受けてオリジナリティーを模索した時代でしたが、この作品はそれを象徴する若かりし頃の作品の一つといえるでしょう。こちらは、本展での初公開作品となります。
展示室:展示室2(緑の部屋)
《壺を持つ女性》1920年 油彩・キャンバス
二番目の伴侶となったフェルナンドが敬虔なカトリック教徒だったこともあり、藤田の初期作品には宗教的なものが少なくありません。1918年に南仏を訪れ、かつて教皇庁があったアヴィニョン近くを旅し、中世の宗教美術に触れたことも創作の契機となりました。一方、その画風には単純化されたフォルムの女性像で有名なモディリアーニの影響も感じられます。
展示室:展示室2(緑の部屋)
《腕を上げた裸婦》1924年 油彩・キャンバス
1921年のサロン・ドートンヌで話題をさらった藤田の裸婦は「素晴らしき乳白色の下地」と呼ばれ、その後もヨーロッパを席巻しました。西洋で確立された油彩という技法に日本画の要素を取り入れたことで、藤田は「破格の成功」をおさめたといわれています。
1924年に制作されたこの裸婦は、前年の第16回サロン・ドートンヌに出品された藤田の大作「五人の裸婦」(東京国立近代美術館所蔵)のうち、左から二番目の女性と同じ構図で描かれた貴重な作品です。
展示室:展示室2(緑の部屋)
《犬と遊ぶ子どもたち》1924年 墨、油彩・絹本
1920年代、藤田は「乳白色の下地」で一世を風靡するかたわら、日本画のような印象を受ける画風の作品も熱心に制作しました。そのひとつがこの《犬と遊ぶ子どもたち》。
油彩でありながらも、やまと絵のような描き方で、日本人として挑戦し続ける藤田の決意が感じられる作品です。
展示室:展示室3(黄色の部屋)