開館3周年記念企画 ランス美術館コレクション 藤田嗣治からレオナール・フジタへ 祈りへの道

開催概要
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藤田嗣治(1886-1968)の作品だけを所蔵する軽井沢安東美術館では、開館3周年を記念して2025年10月4日(土)から2026年1月4日(日)まで「ランス美術館コレクション 藤田嗣治からレオナール・フジタへ 祈りへの道」を開催いたします。
本展は、藤田の妻・君代とその遺族から寄贈された2,300点以上の作品や資料にくわえ、「平和の聖母礼拝堂」(通称シャペル・フジタ)の建築家モーリス・クロジエ所有のデッサンや資料の寄託も受けるフランスのランス美術館(Musée des Beaux‑Arts de Reims)との共同企画です。藤田の洗礼からストーリーが展開する本展では、日本初公開作品44点を含む46点をランス美術館から迎え、当館所蔵の作品とともに藤田晩年の画業と人生を紐解きます。1950年、60歳半ばでパリに戻り、1959年、カトリックの洗礼を受けた藤田は、その後、宗教画の制作とシャペルの建設へと全身全霊を捧げました。藤田晩年の足跡を辿りながら、藤田が求めた宗教画の世界をご鑑賞ください。
展覧会概要
第二次世界大戦中、戦争画を描いたことで日本の画壇から非難され、しばらく筆を置くことを求められた藤田は、1949年、日本を離れ、ニューヨーク経由で再びパリへと戻っていきました。しかし、1920年代に享受した栄光と活気はもはやそこにはありませんでした。帰仏から2年後の1952年に制作された《除悪魔 精進行》(油彩・ガラス 軽井沢安東美術館蔵)には、藤田の内なる苦悩や葛藤がフランス語で記されており、「私に力を与えよ」という叫びとともに跪き、天を仰ぐ藤田自身の姿が描かれています。
そうしたなか、藤田は1910年代に取り組んだ宗教画へと再び関心を寄せていきます。パリに戻って以降、藤田が繰り返し描いた少女像には宗教的なシンボルが描き込まれ、母と子を題材とした作品が数多く制作されました。そしてこれらのモチーフはやがて聖母子像へと昇華します。
1959年には、藤田は君代とともにランス大聖堂でカトリックの洗礼を受け、新たな信仰の道を歩み始めます。洗礼名は、敬愛するレオナルド・ダ・ヴィンチにちなんで「レオナール・フジタ」。藤田は洗礼の日付とともにその名を記した《聖母子》をランス大聖堂へ献納しています。
ところで、洗礼の際、彼の代父・代母となったのは、藤田と深い親交があったランスの老舗シャンパンメーカー、マム社の取締役ルネ・ラルーとテタンジェ社の一族であるフランソワの妻、ベアトリスでした。またルネ・ラルーは礼拝堂を建てたいという藤田の願いに応え、マム社に隣接する土地を提供し、建設費用を準備するなど、その実現に向けて力を尽くしました。そして礼拝堂の建設が正式に決定すると、藤田は建物の装飾やフレスコ画のための大量のデッサンを仕上げ、堂内四面の壁画をわずか3か月で完成させたのでした。
展示室2では、ランス大聖堂へ献納された《聖母子》とともに、藤田とランスの関係を紐解きます。展示室3では、宗教的なシンボルが描き込まれた少女像や母子像をご覧いただきます。そして展示室4では、キリスト教徒となった藤田の大傑作といえるシャペル・フジタをご紹介します。藤田が辿り着いた芸術と信仰の境地—その二つの深淵に迫るかつてない特別な企画展を、どうぞお楽しみください。
展覧会のみどころ
ランス美術館と軽井沢安東美術館-夢のコラボレーション
本展は、藤田嗣治の作品を数多く所蔵する二つの美術館が対話を重ね実現しました。両館が所蔵する作品の共鳴を通じて、1920年代のパリで一躍有名となった一人の日本人画家が、晩年、キリスト教徒レオナール・フジタとなり、シャペルの建設へと至るプロセスに迫ります。ランス美術館と当館とのコラボでしか実現できない、一期一会のフジタ展です。
藤田がランス大聖堂に献納した《聖母子》が、軽井沢で初公開!
作品画像:《聖母子》1959年 インク・墨(淡彩)、金箔、油彩・キャンバス ランス大聖堂蔵 ランス美術館寄託
Vierge à l’Enfant (1959), Encre, lavis d'encre, feuille d'or et huile sur toile Don de Léonard Foujita à la Cathédrale de Reims en 1959 Dépôt de l’association diocésaine de Reims Reims, Musée des Beaux-Arts / photo : Corentin Le Goff
ランス美術館所蔵のスケッチ44点が日本初公開!
作品画像:《四聖獣に囲まれた神と神秘の子羊》1965年 木炭、グラファイト・白ヴェラン紙 ランス美術館蔵
Dieu et l'Agneau mystique entourés du tétramorphe (1965) Fusain, graphite et estompe, lavis sur papier vélin blanc Reims, Musée des Beaux-Arts / photo:Christian Devleeschauwer
ランス平和の聖母礼拝堂を体感
画像:展示室4 壁に《聖母子》が描かれた礼拝堂御内部の祭壇 1966年 ランス市
(Vue de l’abside de la chapelle Notre-Dame-de-la-Paix à Reims, Léonard Foujita (1966) © Ville de Reims / photo : Corentin Le Goff )の再現イメージ
ランス美術館と藤田嗣治
フランス北東部シャンパーニュ地方のランス市に位置するランス美術館は1795年に誕生した歴史ある美術館です。16世紀から20世紀にいたる作品を幅広く所蔵し、なかでも19世紀のフランス美術ほか、20世紀の画家たちの作品が充実しています。そして同館は、君代とその遺族から寄贈された約2,300点を超える藤田の作品と資料を所蔵する美術館でもあります。2027年にリニューアルオープンを迎えるランス美術館では、藤田コレクションを展示する210㎡のスペースが計画されています。ランス美術館(Musée des Beaux‑Arts de Reims)https://musees-reims.fr
イベント
開館3周年記念 ピアノ&ヴァイオリンの無料リサイタル
開催日時:10月4日(土)14:30~(終了予定時刻 15:00)・代表理事 安東泰志 ご挨拶
・館長 水野昌美 ご挨拶
・ピアノ&ヴァイオリン演奏
サロン・イベントも開催予定
2025年10月4日(土)から2026年1月4日(日)までの会期中、シャンパンやワインにちなんだイベントをはじめ、コンサートや講演会など、さまざまな催しを予定しております。詳細につきましては、追ってご案内します。
画像:シャンパンイベント風景
同時開催
作品とともに巡る藤田嗣治の軌跡
会場:展示室5
画像:展示室5
『葡萄酒、花、炎』—ワインが彩るフランス風景
会場:特別展示室
作品画像:挿画本『葡萄酒、花、炎』 ベルナール・クライン出版 1952年
プレス関係者の方へ
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