Chapter 1
パリの画壇を震撼させた“白”
藤田が描く女性の肌は、まるで磁器のように滑らかで、深く、透き通っていた。
人々はその色をこう呼んだ。
『フジタ・ホワイト』
パリの画家たちは驚愕する。
「どうやって描いているんだ?」「こんな白は誰にも出せない!」と口々に叫んだ。
実際、藤田の“白”は秘密の技法によって生まれていた。
カルシウムとタルクと絵具を絶妙に組み合わせ、紙のように薄い油絵具で繊細な線を引く。誰も真似できない、唯一無二の白。
その白は、パリ中の画廊を席巻した。
Chapter 2
東洋の怪物、パリのスターになる
藤田の展覧会には、連日長蛇の列ができた。
絵を買いたい客が溢れ、サロンでは最高賞をいくつも受賞。
華やかなパーティには必ず藤田が呼ばれ、雑誌には彼の写真が大きく載った。
いつしかパリの人々はこう呼んだ。
「レオナール・フジタ、モンパルナスの王」
当時、白人男性が中心の芸術界で、日本人がスター画家になることは“奇跡”に近かった。
藤田は、その奇跡を自分の力でつくりだしたのである。
Chapter 3
猫を愛し、友を愛し、絵を愛した男
藤田は無類の猫好きで、家には常に数匹の猫がいた。
猫たちは藤田の絵の中で生き生きと跳ね回り、パリの人々はその愛らしい姿に魅了された。
彼はまた、モディリアーニやユトリロなど、孤独な芸術家たちと深い友情を結んだ。
豪華な生活を送りながらも、藤田はいつも“絵を描くこと”を最優先にしていた。
Chapter 4
戦争の影 ― 世界的スターの“転落”
華やかな成功の後、藤田は日本へ戻る。
しかし時代は戦争へと突き進んでいた。
藤田は従軍画家として戦場を記録する絵を描く。
これが戦後、「戦争協力」と批判され、彼は日本に居場所を失ってしまう。
彼は静かに日本を離れ、フランスへ戻る道を選んだ。
Chapter 5
信仰と再生
― フランスでの最期の大仕事
晩年の藤田は、人生の嵐の先に“信仰”を見出す。
彼はカトリックの洗礼を受け、
レオナール・フジタと名乗った。
そしてフランスのランスに、自ら設計・装飾を施した教会
「フジタ礼拝堂」
を完成させる。
そこに描かれたフレスコ画は、静かで、柔らかく、若き日の華やかさとはまるで違う。
まるで藤田が自分自身を赦し、
世界と和解しようとしているようだった。
エピローグ
世界を驚かせた“すごい日本人”、その名は藤田嗣治。
藤田嗣治は、ただ海外で成功した日本人ではない。
文化の壁を越え、技法を革新し、時代を生き抜き、
最後は信仰により精神の再生を果たした。
彼の人生はまるで映画のように波乱万丈で、
その物語は今なお世界の美術館で語り継がれている。
異国の地でスターとなり、
世界を驚かせた日本人がいた。
その名は、藤田嗣治。
【世界初】藤田嗣治の作品だけを展示する、
自宅のような美術館
軽井沢安東美術館は、藤田嗣治の作品約300点を収蔵し、藤田嗣治だけを展示する私設美術館です。
猫、「乳白色の下地」の裸婦、少女、宗教画、風景画、戦争画、手仕事 ― 過去最多となる展示。
藤田のすべてを魅せる、
すごい常設展を開催中です。
藤田嗣治が遺した数々の作品、そして彼の息遣いを、
軽井沢安東美術館でぜひご体感ください。
藤田嗣治の作品を1年間いつでも堪能できる
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